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ニッケル水素電池充放電器

2001/02/03(Sat) このページ作成開始、
2001/02/05(Mon) いちおうできたことにしよう。

ケースへの収め方は失敗!?
ニッケル水素充放電器

ニッケル水素電池の充放電器を製作しました。 まだまだ未完成、不満足な部分は多いのですが、 一応使えるようになったし、興味を持ってくれる方も いらっしゃるようなので報告します。

  • 概要

    定電流充放電回路をAtmelの1チップマイコンAT90S8535でコントロールする ニッケル水素用の充放電器です。 次の機能を持っています。

    • 0.5C(800mA)の高速充電/放電
    • 0.1C(160mA)の低速充電/放電
    • 電圧、電流、経過時間、積算充放電量のLCDへの表示
    • RS-232Cインターフェースを経由してのコントロール、 電圧/電流の測定

    充電プログラムは 1600mAのニッケル水素蓄電池用です。 電池の本数はは1本〜6本の範囲で設定可能です。

    以下の機能は未実装ですが、プログラムの追加だけでできるはずです。

    • いったん放電し、そのあと充電
    • これは、早く実装しないとまずいのだが... -ΔVを検出しての充電停止
    • 高速充電後の補充電、トリクル充電
    • 充放電中の電圧変化をメモリに記憶、まとめてPCに転送
    • 電池の内部抵抗測定
    • プリセットされた以外の充電設定のパネルでの変更

  • 動機

    購入したデジカメNikon CoolPix-990用に秋月電子から 1660mAHのNiMH電池と高速充電器(キットじゃないほう)を購入し 使用したのですが、10分程度で充電が終了し、使用するとすぐに 電池切れになってまともに使えませんでした。 充電されないのも困りますが、充電の様子がまったくわからない というのも面白くありません。 そこでかねて使ってみたかったAVRマイコンで、 充放電器を作ってみることにしました。

  • 開発課程

    開発の経過を以下に示します。
    日記を書いていると、こういう時に良いなぁ。

    こうやって振り返ってみると 案外時間がかかってない(!?)です。 最初は部品の調達と設計を並行してやっています。 12月まででハードが大体できあがります。 1月ずっとAVRのプログラムをやっていた感じですが、 始めてのAVR、ひさしぶりのアセンブラプログラミングで ブランチ毎に間違うというような状況で、 時間がかかりました。 最後の方で、ライブラリが揃って来ると随分楽になりました。

  • 回路図

    回路図のPDFファイル (27Kbyte)

    中心になるのは定電流回路で、 参考文献[1]からそのまま持ってきました。 この回路にAVRからDA経由で電圧をかけてやって 電流をコントロールします。

    次に考えるのはのは、 充放電の切り替えをどうするかということです。 2つの方法が考えられます。 1つは充電回路と放電回路を別々に準備する方法ですが、 電流値を設定できるようにしようとすると回路が複雑になります。 もうひとつの方法は1つの定電流回路をリレーで切り替えて 充電と放電に使用する方法です。 手持ち部品に小型の使いやすいリレーがあったので、 今回はリレーを使うことにしました。

    また、リレーをもう1つ使い、充放電を行わないときには 充電池を完全に回路から切り離すことにしました。 電源を落としたり、リセットしたりすると このリレーにより 完全に切り離されますので 安心感がありますし、 充放電終了時に カチッと音がするのも楽しいです。

    AVRの書きこみ用の回路兼RS232Cインターフェースの回路を 内蔵しました。 この回路はChaNさんのホームページ[2]にある回路 をそのまま使用させていただきました。

    電流検出部の差動アンプで、調整用に半固定抵抗が2つ 入っていますが、結局面倒で調整していません。 ああ、いいかげん

  • 部品の入手

    回路図には書いてありませんが、 電源は昔秋月電子で買った5V1A,12V1Aのスイッチングレギュレータを 使用しています。 コンパクトで便利です。今でも600円位で 売っているようです。

    リレーは、なんでもいいのですが、松下のAG2327-9Vというものを 使いました。16PIN DIPサイズですし 値段も150円/個で藤商から 昔購入していたものです。パワートランジスタ 2SA1940やOPアンプ TLC274CNその他細かい部品はサトー電気から購入しました。 OPアンプは片電源用のものを使用してください。

  • ケース

    この充放電器は実際に使って行く予定のものですし、 AC100Vも使用しているので、ちゃんとケースに収めることに しました。

    しかし まだうまくいっていません。 原因の1つは、基板を作る際になにも考えていなかったため、 でかくなりすぎたこと。 原因その2は、配置案が何度も変わってしまったことです。

    充放電器は日常的に使用するので、 できるだけコンパクトにまとめないと目障りです。 しかし、基板上で配置を決めるときにはまったく そんなことは考えておらず、いつもの実験用基板を 作るのりで、配置を決めてしまいました。 そのため、けっこう大きいYM-200にすらはいらず、 YM-250を使用する羽目になってしまいました。

    ケースへの実装方法は、最初 上面に LCDディスプレイ、 スイッチ、電池ボックスなどを配置する方法を考えていました。 しかし、上面を使ってしまうと 場所をとりすぎて 収納に不便と考えるようになりました。 そういうわけで、LCDは上を向いているのに いまだに、LCD用の穴を明けきらずにいます。

    うーむ、どうなるのだろう。

  • ソフトウェア

    ソフトウェアはAVRのアセンブラで記述され、1500行ほどです。 まだ、未完成だし、汚いままなので 公開するのはちょっと恥ずかしいなぁ。 ということで、まだ未公開です。

  • 反省(良かった点)

    • 全体の動作としては割とよくできていると思う。 自画自賛!
    • リレー使ったのはヒット! つかってて安心。
    • 電池との接続は ACアダプターのソケット+電池ボックスが便利。 ターミナルもあまり使わないけれど、見た目は良い。
    • バックライト付LCDディスプレイは見やすい。

  • 反省(悪かった点)

    • D/Aコンバータは5bitで、 50mA/LSBぐらいになっています。 もうすこし分解能があっても良かったと思うので、 PortDを使用して8bitにするのが良いでしょう。
    • 74HCT125を利用したRS232Cはお手軽といえばそうなのですが、 RS232Cを接続しないときに入力が不安定になり、 pull-up/down用の抵抗を追加することになってしまいました。 ここは素直にMAX232の類のレベルコンバータをいれるのが いいでしょう。但しそうなると、論理が反転するので ChaNさんのAVR書きこみプログラムや、通信ルーチンは 書きなおす必要があります。
    • 現在の回路ではA/Dコンバータの読み出しで5LSB程度の ノイズが載っています。 この辺はきちんと対策して 無理かもしらないけれど 1LSBぐらいまでに落とし込みたいものですね。
    • R30,R11の半固定抵抗は不要。 精度1%程度の固定抵抗で組んだほうが良かったかも。 回路全体として10%程度の精度が達成できればいいのでは?
    • 手持ち部品の トランジスタアレー μPA2003を使ったが、 7回路中2回路しか使っていない。2SC1815あたりで組んだ方が、 コンパクトになりそう。
    • 12V2Aぐらいの電源をつかえば 1.6A 1時間の高速充電ができる?

  • 今後?

    最大の問題は、ケースへの組み込み。 しかしこれを行うには基板から作りなおす必要がある。 もういちど手配線をやるのはつらすぎるので、 こんどやるとしたら感光基板でやるだろう。 その前に目標のケースを決めて、部品配置も決めてやらなければ ならない。電源は秋月の12V2Aのやつをばらしてつかうかな、 とか言って本当に作るかどうかは不明。

    とりあえず、充放電特性をとって -ΔV検出機能を実装しないと やばいかなぁ。

  • 参考文献/URL

    1. トラ技 2000年1月号 渡辺 明禎 『0〜10V, 0〜2AのCVCC電源の設計』
    2. ChaN氏のホームページページ http://elm-chan.org/reports/avrx/report.html


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